・・・ちきしょー!! ちきしょー!! ちきしょー!!
ぼくは胸の内で、大声を張り上げた。ぶつけようのない怒り。だって自分で自分はなぐれないから。
ネクタイのいったことは正しい。
ぼくはネクタイに嫉妬(しっと)しているのだ。
先生がけんかの理由を聞いているときに、ぼくは少し冷静になれた。するとすぐにうす桃色の手紙に思いあたった。
あの手紙はどうしたろうか? まだ落ちている? 誰かが拾ってしまった?
なんにしても、べにちゃんからのあずかりものだ、しかもとてつもなく重要な。なくしたではすまされない。
先生のことを気にしている余裕がなくなり、ぼくは、はいつくばるように、みんなの足元をかき分け、手紙を探した。そしてすぐに思い当たる。思い出した。
ネクタイだ。ネクタイが去り際に、確かにかばんと一緒に手にしたものがある。あれは確かにうす桃色の手紙だった。
べにちゃんが初めて書いたラブレター。
なんでネクタイが? 一度は放り投げたくせに・・・。
べにちゃんの笑顔が思い出される。
ぽくは、もうたまらず泣き出してしまった。