自分では満足でも、なかなか評判は得られない。アップしても売れるはずないよね、と思ったら・・・。
「あらら?」
スマホのメールが鳴り出す。開いたら、今、アップしたばかりの作品への、購入希望メールだった。
「うそみたい。売れた」
今までにないことだ。嬉しかった。ガリ版のレトロなタグが良かったのかも。それに、「SNSは投稿のタイミングも重要って言うじゃない?」
チラリとガリ版機に目をやる。ロウ紙を全部、開いてみると、一枚ずつの紙に、(S12.11)とか(S12.15)とか、違う数字が書かれている。
「これは・・・」
Sは、紗彩のイニシャル。数字は、投稿すべき日にちを指定した暗号かも。なんだか、そんな気がする。
ママに話したら、
「なーに、バカなこと言ってるの」
と、大笑いされた。
「さあさあ、もうすぐおばあちゃんが遊びに来るから、あなたも用意を手伝って」
やって来たおばあちゃんは、私がガリ版機を買った話をすると、「まぁ、懐かしい。見せて」
と、興味を持ってくれた。リビングに青銅色の箱を運んできたら、おばあちゃんは驚いた顔をした。