祭りになると、夜が明るくなる。と、トモちゃんは思っていました。
いつもは真っ暗な神社の林が、その日だけは遠くから見ても空の色が変わるのです。
神社へ行く道も、うちの近所さえも、祭りへと向かう道はすべて、空気が黒から水色になるような気がしていました。月の明かりも加わっていたでしょう。今日はきれいな満月です。
今夜の祭りもにぎやかでした。いつものように、たくさんの屋台が並んでいて、大人も子供もみんな笑っていました。
金魚すくい、りんごあめ、綿菓子、花火のお店もあります。
今晩、トモちゃんはお姉ちゃんといっしょでした。
お父さんお母さんは仕事で早く帰れないので、二人で行くようにと、おこづかいを置いていってくれていました。お姉ちゃんは六年生、トモちゃんは二年生です。