森のまいご(1/3)

文と絵・ひなたのんき

どうして3日も、森をさまようハメになったのか。
森の中というのは、どこも同じような景色で、方向が分からなくなる。まっすぐ歩いているつもりで、実はどんどん、広場からもコースからも遠ざかっていたのだが、それを知らない男の子には、何が何だかさっぱりだ。
(もらった地図が、まちがってたのかな・・・。あそこを、まっすぐつっきれば、曲がりくねったコースを歩くより、ずっと早く着くはずだったのに・・・)

ずるり

足下がすべった。もう、ふんばる力もない。男の子は、そのまま地面にたおれこんだ。
(あ~あ・・・。このままぼく、死んじゃうのかな・・・)
立ち上がる気力もわいてこない。地面に体をあずけ、しばらくの間、男の子は、心の中でわが身の不運をなげいた。

ひなたのんき について

東京都出身です。空と、水のある景色と、物語の世界が大好きです。 絵は描けないけど絵本が描きたいので、絵本の文章を編集さんに見てもらったりしています。 好きな絵本作家は、かがくいひろしさん、長谷川義史さん。 好きな童話は、寺村輝夫さんの「ぞうのたまごのたまごやき」、「こまったさんのオムレツ」。 好きな物語の出だしは、安房直子さん作「きつねの夕食会」の「新しいコーヒーセットを買ったので、きつねの女の子は、お客をよんでみたくてたまりませんでした」。 こんな風に人に衝撃を走らせる一文を、自分もかきたいと思います。