「なんで、そうなるだかなあ」
ハンスが、くせ毛のもじゃもじゃ頭を、ボリボリ、かいたので、アウロラは、ケラケラと笑いました。でも、すぐに、まじめな声になって言いました。
「なぜって、土地と家族を何より大事にするおまえなら、国と人々を大切にすると思ったからです」
ハンスはアウロラの言ったことを、じっと、考えているようすでした。それから、
「ようがす。畑を耕すことと、家族を大切にすることが、王さまの仕事と同じなら、おらにもできそうだ。お引き受けしますだ」
と、答えました。
それから、耳のつけねまで真っ赤になって、
「それに、あんたさんは、これまでおらが見たどんな娘っこよりべっぴんでがす。女房にするに不足はねえだよ」
と、つけくわえました
「よし、決まりじゃ!」
さっそく、結婚式のために、教会から大僧正が引っ張ってこられました。
母親似の美しいアウロラと、まだ野良着のままの農夫の息子ハンス。ちぐはぐな結婚式でしたが、仲良く並んだ若いふたりは、とても幸せそうに見えました。