4 ガラスのひつぎ
「どうしたらリンゴ売りとの約束を果たせるだろう?」
どんなことをしてでも、リンゴ売りの娘が・・・、いえ、リンゴ売りの娘のうでまくらがほしかったのです。それほど、ディドーは、寒かったのでした。
ディドーは知恵をしぼりました。そして、町に、よく当たると評判のうらない師がいることを思い出しました。
王は、もう一度、こっそり、町へ出かけて行きました。
そして、町はずれのわびしい家に入って行きました。
そこには、黒いずきんを目深にかぶった、女のうらない師が座っていました。
うらない師は、王が何も言わないうちから、もう、すでに、王の望みを知っていて、クツクツ、笑って、言いました。
「王様の願いは、私めの申し上げる通りにすれば、すぐにもかないますよ。ただし、ずいぶんと、ちょうだいいたしますが」
「金はいくらかかっても構わない。ただ、あれが、あまり、苦しまないようにだけは・・・」
ディドーは、あとの言葉を飲みこみました。さすがに、自分のしようとしていることに、おそれをなしたのです。
「だいじょうぶですとも。王妃様は、これっぽっちも、お苦しみにはなりませんよ」
うらない師は、にこやかに、7日後の真夜中、もう一度、訪ねて来るようにと言いました。
「その時には、黒いほろでおおった荷馬車で、くれぐれもおひとりで」