それから7日後、王は、うらない師に言われた通りに、黒いほろをかけた空の荷馬車で、ちょうど真夜中に、うらない師の家にやって来ました。
「では、これを積んでお帰りください」
うらない師が王にくれたのは、ガラスのひつぎでした。
「明日の晩、王妃様がお部屋にもどられる前に、これを水でいっぱいに満たして、ベッドの上にお置きください。王妃様は、ガラスのひつぎの美しさにひかれ、必ず、中に入って、お眠りになるでしょう。王妃様が眠ってしまわれたら、ひつぎのふたを、急いで閉めて、カギをおかけください。そのカギを、必ず、窓辺に置いてください。必ずでございますよ。
ひつぎには、私のとっておきの呪文(じゅもん)がかけてございますから、王妃様は、お眠りになったまま、二度と出ることはございません。水のお城の天守に、水晶玉がかがやくかぎり」
「城の天守に水晶玉があるかぎりだと・・・?」
ディドーは、その言葉を、どこかで聞いた覚えがありましたが、
(いったい、どこで聞いたのだろう・・・?)
と、どうしても、思い出せません。
ともあれ、王は、ガラスのひつぎを、荷馬車の黒いほろの下にかくして、そっと、水のお城に運びこみました。