13 不覚!
ずんずん近づいてくるガードマンに、
「大声を出して、スミマセン」
頭を下げて、エスカレーターに。
「もう、まったく! 猿神さんが、大声出すから、ガードマンに怪しまれそうになったじゃないですか! 早く追いかけましょう!」
エスカレーターが下に着くまでの間に、オレは、前に立つ猿神さんの後頭部に早口でまくしたて、追いたてる。
「なにのんびりと突っ立ってるんですか、こんな場合は、エスカレーターで下に行きつつ、自力でも下に行くんです!」
チャッピーは、至近距離にいる。
だから。
そんな必要ないんだけどね。
しかし、甘かった。
外に出て、オレたちが目にしたのは、白い車の運転席から伸びた手が、ドアを閉めた瞬間だった。
きれいに除雪はされているものの、足元の悪い、その上、広い駐車場を、オレたちは、全力疾走でキャロちゃんの元に駆け戻る。
「一発でかかってくれよ」
猿神さんは祈るように言い、キーを回す。
前方を走る白い車を追いかける。
あと一歩。
そう、あと一歩が遅かった。
が、追いつけない距離では、ない。
が、パワーが違いすぎる。
白い車が、みるみる小さくなってゆく。