オレは再度、写真を見せるようにと促した。
「携帯の待ち受け画面でも?」
「はい、それで大丈夫です」
画面の中では、オレンジ色に近いチャトラの子猫が、足を前後に伸ばしきり、空を飛ぶような格好で眠っている。
見ているだけで、幸せになりそうな寝姿は、まさしく天使!
オレは、それを、じっと見つめる。
が、いつものように、写真の猫とその猫がいる場所のイメージが湧いてこない。
「あの、現在もこのくらいの大きさですか?」
「この写真は、一番かわいい頃で、今は・・・」
丹田さんが、データフォルダを開き、おずおずと画面を表示する。
「うっ・・・」
ハナちゃんは、ペテン師なのか?
とても同じ猫には思えない。
のぞきこんだ猿神さんが、
「こいつは、ブタか?」
失礼な発言をする。
猿神さんの脇腹に軽く肘鉄を入れながら、オレは言葉を探す。
「よく育ったんですね」
「はい。夫が甘やかしまして」
夫がああしただのこうしただのの話を聞きながら、オレは写真を見つめ続ける。
と、見えた!
「近くに、います!」
走り出すオレを、
「そうか、近くに?」
猿神さんが追ってくる。
丹田家から東方向、角地の家に沿うように北方向、アンテナが告げるまま、オレは走る。