猫アンテナ狂想曲(7/15)

文・朝日千稀   絵・木ナコネコ

「なんすか、それは?」
「暗視スコープゴーグルだ。これがあれば、暗闇でも鮮明に物が見える。おまえの分もあるぞ」
「オレの分も?」
「そうだ、深夜の通販で時間限定、30分以内にご購入された方は1個の値段で2個付いてくるという特典の賜物だ」
「・・・・・・」
「準備万端。さあ、助手1号、出動だ! 探偵として、謎を残したままで、朝を迎えるわけにはいかん!」
「どうしても行きますか?」
「探偵魂に点いた火が消せると思うか?」
なるほど、そういうことか。

「わかりました」
そこまで言うなら、付き合いましょう。
「チャッピー、お留守番は、頼んだぞ」
「いってきます、チャッピー」
オレたちは、まるで三つ指をついているように前足をきちんと揃えたチャッピーに見送られ、意気揚々と家を出た。

んんっ?
意気揚々?
オレ、どうして?
こんな気分になるんだろう?

朝日千稀 について

(あさひ かづき)福井県福井市在住。3猫(にゃん)と一緒なら、いつまでもグータラしていられる

木ナコネコ について

(きなこねこ)福井生まれ、大阪住まい。福井訛りの謎の関西弁が特徴。猫と珈琲と旅が好き。