さらに数年たったある日のことです。ハチミツをほおばるチャロを見て、村長はうかない顔をしています。
「なぁチャロ、お前はここに来て何年もたつのに、ほとんど大きくなっていない。大きくなったら森を守ってもらおうと思っていたが、それはむりのようだ」
ほかの動物たちも、「やっぱり」と顔を見合わせています。
おどろいたのはチャロだけです。
「なんで! ぼくは強いくまになるんじゃないの? 森の王様になって、みんなを守るんじゃなかったの?」
村長は首を横にふりました。
「大きくならなかったが、お前は十分役にたっているよ。お前のハチミツは、みんなを元気にしてくれる」
「そうよ。大きくなくても、ずっと友だちよ」
「そうだよ。これからもずっとなかよしだよ」
カリンとクルミも、なぐさめてくれました。ほかの動物たちも、うなづいています。
「でも・・・でも、ぼくはずっと森の王様になるつもりだったんだ。これからぼくは、どうすればいいの? 強くないくまなんて、くまじゃないよ!」
チャロは、なきながらあなにこもってしまいました。
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