夜の森は、いつも遊んでる森とはまったくちがいました。月あかりしかないため、道もよく見えません。強い風がふき、木がミシミシと音をたてます。チャロはこわくなりました。
でも、まっ赤なカリンの目を思い出したら、急がなくてはいけません。チャロは走りました。
「いたっ!」
あわてていると、何かにつまづきました。見ると、そこには大きな足あとがありました。かたちはチャロの足あとにそっくり。でも、とても大きくて、地面がへこむくらい深い足あとでした。
「うわぁ、だれの足あとだろう?」
チャロは、電気が走ったようにブルっとふるえました。
気を取り直して、木に登りハチミツをとります。
「いいハチミツだ。カリンのお母さんも元気になるぞ」
つぼのふたをキュッとしめて木からおりると、後ろの方で、バキッとえだがおれる音がしました。
音はだんだん大きくなり、どんどんチャロの方に近づいてきます。
