『ユキエとくま』
アリーチェ・ケッレル 文
はせがわ まき 絵
関口 英子 訳
工学図書
2023年5月刊
◆金田一京助のもとで
様々な動物たちの声を聞き、自然に対する畏敬の念とともに暮らしてきた文字を持たないアイヌの人々。その精神を受け継ぐ祖母と一緒に暮らした幸恵が、後に『アイヌ神謡集』を生み出すまでを描いた物語。
幸恵が生まれたのは1900年初め。当時はアイヌに対する差別が残る時代でした。とても優秀だった幸恵は、アイヌ人であるというだけでいじめられ、進学においても差別の壁が立ちはだかりました。
そんな悲しみや悔しさの中で学校生活を送る幸恵の元に、ある日一人の男性が訪ねてきます。それは言語学者の金田一京助氏でした。
それから幸恵は金田一氏のいる東京に出向き、『アイヌ神謡集』の校正作業に携わります。祖母が様々な動物たちの声色で歌を歌うのを聞いて育った幸恵は、その歌ものがたりをローマ字で記録し、日本語に訳すという偉業を成し遂げますが、幸恵は・・・。
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