知里幸恵と『アイヌ神謡集』誕生までを描いた絵本

ユキエとくま

アリーチェ・ケッレル 文
はせがわ まき 絵
関口 英子 訳
工学図書
2023年5月刊

金田一京助のもとで

様々な動物たちの声を聞き、自然に対する畏敬の念とともに暮らしてきた文字を持たないアイヌの人々。その精神を受け継ぐ祖母と一緒に暮らした幸恵が、後に『アイヌ神謡集』を生み出すまでを描いた物語。

幸恵が生まれたのは1900年初め。当時はアイヌに対する差別が残る時代でした。とても優秀だった幸恵は、アイヌ人であるというだけでいじめられ、進学においても差別の壁が立ちはだかりました。

そんな悲しみや悔しさの中で学校生活を送る幸恵の元に、ある日一人の男性が訪ねてきます。それは言語学者の金田一京助氏でした。

それから幸恵は金田一氏のいる東京に出向き、『アイヌ神謡集』の校正作業に携わります。祖母が様々な動物たちの声色で歌を歌うのを聞いて育った幸恵は、その歌ものがたりをローマ字で記録し、日本語に訳すという偉業を成し遂げますが、幸恵は・・・。
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えもり なな について

江森 奈々(えもり なな)1985年神奈川県生まれ。千葉県在住。幼少期より母から良質な絵本を与えられて育つ。幼い頃から絵を描くことが得意で、小学生の頃は漫画を描く。中学生になると美術部に所属し油絵を始める。灰谷健次郎の「兎の目」に感銘を受け、10代は日本や世界の児童文学を読みふける。現在、保育士をしながら絵本や童話、紙芝居の創作、読み聞かせを行っている。画家・イラストレーター、モデルとしても活躍中。絵本は1500冊以上読破。2023年be京都にて初のプチ個展を開催。パレットクラブスクール19期絵本コース卒業。トムズボックス2019冬季ワークショップ修了。 『絵本作家になるには、絵が描けないと無理ですか』(CATパブリッシング)の挿絵を一部担当。 ●YouTube:【なないろ本屋/7's BOOKSHELF】 ●Instagram:【nana_museum】