◆1年に100本、お話をかいた
私は幼稚園の先生になりたくて大学で児童学を学んだ。でも実習で園に行ったとき本気で5歳児と口喧嘩をしてしまった。すっかり自信喪失。「私はだめだ。先生にはなれない」と思った。
そして卒業後は幼児教育番組の制作の仕事にすすみ、そこで絵本の仕事をしたことをきっかけに絵本の世界に行こうと決めた。でもどうしたらいいのかわからない。とにかく書かなくちゃ始まらないと思い、1年に100本、お話をかいた。短いもの、長いもの。寝るときも枕元にメモをおき、おもいついたことをメモした。お風呂にはいっているときも、歩いているときも、料理をつくっているときも、いつもいつも。
そして書いたお話を番組でご一緒していた高見映さん(「できるかな」ののっぽさん)に見てもらい、「3本、なんとかすればなんとかなる」といわれ、月刊保育絵本の出版社に紹介してもらった。
ということで私のデビューは6見開きの月刊保育絵本。そのときから数え切れないくらいたくさんのお話を書かせていただいた。「決まった場面数」「テーマが明確」「少ない文字数で小さな子に伝わる文章を書く」「季節感がある」・・・月刊保育絵本の仕事を通して私は絵本創作の基本を学び、育ててもらった。感謝している。だからどんなに忙しくても、月刊保育絵本の仕事はお引き受けするようにしている。