1本のポプラが答えます。
若い誠実(せいじつ)そうなポプラで誰よりも幹と枝とを真っ直ぐに伸ばしていました。
「あなたがそう思うのには簡単な訳があるんです。それは私どもがみな、あなたが健(すこ)やかな眠りにつけるか心配で寝つくまで起きているからで、朝方もまたあなたが平和に目を覚ますのを見守るために先に起きているのです」
思ってもいない答えにイチョウは少し赤くなりました。
「まあ、そうでしたのね。わたくしいつも不思議に思っていたんですのよ。寝付く前にはやさしい子守唄をきいた気がしたり、起きるときもやっぱりやさしい光に包まれていると感じたり。雨や曇りの日にも感じましたから変だと思っていたんですの。あの子守唄や光はポプラさんたちのお優しい心持ちだったのですね」
若いポプラは風もないのにふるふると葉をふるわせ喜びました。自分を誇らしく思ったからです。
それは他のポプラも同じでした。
だってやはり他のみんなも葉をふるふるとさせていましたから。