やがて子どもたちはいなくなりました。
日がだいぶかたむいてきているのです。
西の空はうんと遠くにあり雲の部分だけが、赤々としていました。じきに日が沈もうとしています。
イチョウが話し出しました。
普段は物静かなイチョウも興奮(こうふん)を抑えるのが精いっぱいと見え、いく分か早口でした。
「ああ、ゆかいだったわ。女の子は私の葉を宝物のようにして遊んでくれた。男の子はわたしの幹をなでたり抱きしめたりしてくれた。わたし一番の嬉しさですわ」
昼間に喋ったのではない他のポプラがうなずきました。
そのポプラは大変な紳士で、かっこうも、枝が下から順繰りに小さくなっていって、てっぺんの一点に集中しています。しゃんとしてかっこうよく見えました。