童話は世界の町をつなぐ

◆広場のイメージ
さて、展示された絵を見ると、いろいろな発想があって、楽しませてくれます。
この「オランジア 空飛ぶドア」というお話は、オレンジ色のドアが突如、広場にあらわれるところからはじまります。ドアが魔法の絨毯のようになり、5人の子供たちが乗っていく、そんなストーリーです。

私はジャーナリストとしては、ドイツの地方都市の発展に焦点をおいています。そのためドイツの町についてもよく調べたり、考えたりするのですが、どの町にも広場が必ずあります。町にとって多様な公共空間で、象徴的な場所のひとつで、日本の町の作り方とずいぶん異なります。

そのせいか、広場を描いた絵を見ると、イタリア・フランス・ドイツの子供たちは、かなり明確なイメージを持って描いています。
しかし、日本の子供たちには、イメージするのがやや難しかったようです。もっとも、これも異文化理解のいい材料で、いろいろ分析できそうなのですが、これはまたの機会にゆずりましょう。

高松平藏 について

(たかまつ へいぞう) ドイツ在住ジャーナリスト。取材分野は文化・芸術、経済、スポーツ、環境問題など多岐にわたるが、いずれも住まいしているエアランゲン市および周辺地域で取材。日独の生活習慣や社会システムの比較をベースに地域社会のビジョンをさぐるような視点で執筆している。一時帰国の際には大学、自治体などを対象に講演活動を行っている。 著書に『エコライフ ドイツと日本どう違う』(化学同人/妻・アンドレアとの共著 2003年)、『ドイツの地方都市はなぜ元気なのか』(学芸出版 2008年)のほかに、市内幼稚園のダンスプロジェクトを1年にわたり撮影した写真集「AUF-TAKT IM TAKT KON-TAKT」(2010年)がある。1969年、奈良県生まれ。 HP;インターローカルジャーナル