もうじき7月。雨ばっかりでつまんない。
外で野きゅうがしたい。
ほかの2年生よりも先に、ホームランがうちたいな。
「フウ、そろそろ、おにぎりはウメボシでいいよね」
お母さんは、れんしゅうの日に、おにぎりを作ってくれる。
「えー。カラアゲがいいなあ」
シャケや、シーチキンマヨネーズでもいいのになあ。
「食べものがいたまないように、ウメボシが一番なんだぞ」
じいちゃんが、はたけ用のかごをテーブルにドンとおいた。
とくいげに、はながフゴフゴ、フンフンうごいている。
かごの中には、みどり色のなにかが、どっさり入っていた。
ビー玉みたいにまん丸だった。
「ウメだ。もいできてあげたぞ。それも小ウメだ」
「じいちゃん、これどうするの?」
ぼくとお母さんは、ぴったり声が合わさった。
「ウメボシ、つくれ」
じいちゃんは、テレビをつけて、おさけをのみはじめた。
「わたし、やったことないですよ」
お母さんが、なきそうな顔をした。
「しらねえ。おらだって、やったことねえもの」
ぼくは、ムカっとした。
いつだって、じいちゃんは、こうなんだ。いばりんぼうだ。
「じいちゃん、むせきにんだ!」
ぼくをむしして、おさけをのんでいる。
ますますムカつく。