ひとりのおかみさんが、いたずらっぽく、言いました。
「ねえ、兵隊さん。この村で暮らす方法がなくはないよ。ほら、あっちの草原を見てごらん。娘が3人、いるだろう。あのうちのどの子かのむこになればいいんだよ」
見ると、確かに、3人の少女が、草の中にすわって、クスクス、笑いながら、花をつんでいました。
おかみさんは言いました。
「金ぱつの色白は水車小屋のアダ。村の若い男の半分を夢中にさせているよ。あとの半分はミルカの方に夢中だ。
ほら、バラ色のほほに黒かみの子。かじ屋の娘さ。どうだね、二人とも、まるで妖精じゃないか!?
そして、もう一人、やせっぽっちの赤毛は、つう風持ちのモレんとこのサラだ。器量は今一つだが、気立ては一番さ。
さあ、どの子にする? より取り見取りだよ!」
おかみさんたちは、いっせいに、笑いました。
3つの願い(2/5)
文・伊藤由美