「ばかばかしいじゃないか。あいつの最後の願いは、『お天気のいい日に死ぬこと』だったんだ。しかも、あいつの死ぬころときたら、めったにないほどのお天気続き・・・」
「じゃあ、結局、魔法は働かずじまい!?」
「いや。ちょうど、あいつがこと切れるころ、空にちっぽけな雲がやってきて、あいつの顔に、パラリっと、雨つぶを落としたんだ。あたしの指輪は、それを、ぷっと、吹き消してやっただけさ」
「たった、それだけ!?」
「ああ、たったそれだけ。だから、あたしが手に入れたものは・・・」
西の魔女は、ふところから、セムの目玉を取り出して、東の魔女に見せました。
「これっきりさ」
「何だ、目ん玉1つかい!」
2人は、はあっと、息をついて、そのまま、だんまりになってしまいました。