次の日、ミズ・タナーにピンクスリップを切られたソラは、校長室の前でとんでもない「失敗」をしてしまいました。
ピンクスリップは授業中におしゃべりをしたり、いねむりをしたり、いたずらをしたときにもらう「お仕置きスリップ」です。担任の先生からピンクスリップを切られると、校長室に行って校長先生からお説教をくらいます。
その日、ダイアンと授業中におしゃべりをしていて、ミズ・タナーにピンクスリップを切られたソラ。放課後、校長室の前で待っているときも、ソラとダイアンはおしゃべりに夢中になっていました。
「ハァーイ」
とつぜん、だれかにポンポンとかたをたたかれたソラ。ふり返って目が飛び出しそうになりました。なんとチャールズがニコニコしていたのです。
「ハァーイ! あなたも?」
ダイアンはすました様子で答えると、ピンクスリップをぶらつかせました。
「 今月3枚目〜」
ばつが悪そうにチャールズが笑いました。白い歯がキラリと光ったしゅんかん、ソラのしんぞうでシンバルがなりました。
「私たちは4枚目〜。ねえ、ソラ!」
ダイアンはニヤリとして、ソラのわき腹をツンツンしました。
「う、うん」
ソラは顔をひきつらせました。
「キミたち、オーディション受けるの?」
チャールズはダイアンとソラをこうごに見ました。
「もちろん! ねっ、ソラっ!?」
ソラはおろおろしています。チャールズがソラをジッと見つめています。チャールズのエメラルドグリーンのひとみに、ソラは吸いこまれそうになり、とっさに
「い、い、イエス」
と答えてしまいました。ソラの口が勝手に、いつもどおりの「とりあえずイエス」をしてしまったのです。大失敗です! こうかいしても、もうどうにもなりません。ダイアンは「やった!」という顔でニヤニヤしています。
「ぼくもジュニアハイに入ったら絶対にアメフトのチームに入るよ。ダイアン、ソラ、2人ともオーディションがんばって! いっしょにデニースタジアムに行こうね!」
「もちろん! ねっ、ソラ!」
ダイアンはソラのうでに自分のうでをからませました。
「う・・・うん」
ソラはこくんとうなづきました。そうするしかありませんでした。でも、なぜか少しだけホッとしました。肩にずっとのっていたおもりが取れたように感じました。
こうしてソラのチアリーダーチャレンジが始まった、いえいえ「始まってしまった」のです。