2億4000万分の一のキセキ!(10/11)

文・ニケ  

それから練習練習練習にむがむちゅうのうちに、3週間ほどがすぎていきました。休み時間も昼休みも放課後も、ソラとダイアンは体育館で飛んで、はねて、おどりまくりました。休みの日は公園で練習しました。ミリンダが付き合ってくれました。ダンス部のミリンダはステップやターンを教えてくれました。家ではお部屋でじゅうなん体操をし、ときどきお兄ちゃんに手伝ってもらいました。亀の甲羅のようにかたい背中をおしてもらったり、100度くらいしか開かない足をひっぱってもらったり。

「ソラ・・・ココだよ! 自分を信じろ!」
お兄ちゃんは自分の左胸をポンポンとたたいてはげましてくれました。
目標ができると、案外いろいろなことががんばれるものです。一人きりだとあきらめそうになることでも、だれかがいっしょにいることでふんばることができます。ソラは練習をするのが、だんだんと楽しくなっていました。
ただ、ひとつだけ気がかりなことがありました。パパとママに「オーディションを受ける」と言えないまま、時間が過ぎてしまっていたのです。

オーディションまであと3日。ソラははじめてトータッチジャンプに成功しました。
「うわぁぁぁあ!!!できたぁぁ!!!!」
ソラはこおどりして喜びました。

「やった〜〜!! ソラ、その調子よ!!」
ダイアンも自分のことのように大喜びです。
「もう一回やってみる!!」
ダイナミックに飛んだソラは、しっかりと両手をそろえてピンとのびたつま先をさわりました。
「アッ!! ソラ、危ない!!」
「ギャッ〜〜〜ッ!!」
ソラの悲鳴が体育館に響きわたりました。

ニケ について

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(学術博士)。読んだ人がちょっとだけハッピーになる言葉を奏でます。