6 さらわれたミエンダー氏
朝も6時。そんな早くから、多田君がたずねてくるなんて、めずらしいことでした。
「おはようっす、ハツさん! このごろ、パトロール、してないそうすね。町は、大変なことになってますよ。『正義のステルスおばあちゃん』が現れないのをいいことに、カラスはベランダや庭をあらし放題! 公園でも、ヘビが来るんで、親鳥たちは気が気じゃない。ヒナたちも、こわがって、巣の中で、ピイピイ、ふるえているすよ!」
「何ですって!?」
ハツさんはあわてました。
「ミエンダーさん、ごめんなさい! きょうの映画鑑賞は、夕方まで、延期にしてくださいね。私、町を、一回りしてきますから! コスモさん、ミエンダーさんをよろしくね!」
「いいですとも、母さん!安心して、町の平和のために、出かけてください。あとは、私と多田君に任せて」
ハツさんは、久しぶりに、クローゼットから白鳥のつばさを引っ張り出し、スタングラをうでにはめて、「シュワッチ!」と、出て行きました。
その時、何だか、コスモ博士と多田君が、目配せしたような気もしましたが・・・。