12 ちび夏のもとへ
山野辺美好さんと旧交を温める暇もなく、もちろん、いろいろな余韻にひたる暇もなく、黒岩さんは、次の依頼主の所に向かわされている。
「だいたい、先輩にグッジョブ! なんて、みーちゃんもみーちゃんだけど、みーちゃんの姿を見たとたん、ウインクをしまくる先輩も先輩だ・・・」
ハンドルを握りながら、文句を言いまくる。
「黒岩さん、山野辺さんは、たぶん、猿神さんにイヤミを言ったのではないでしょうか? みぞおちパンチをする時の顔、ちょっと憎しみがこもっているようにも見えました」
「なるほど!」
「それと、猿神さんは、ウインクはしていませんでした」
「いやいや、していたんだよ先輩は。ほら、こんな風に」
黒岩さんはふり向いて、後部座席のぼくに、パチパチと両目をつぶってみせる。
「黒岩さん、わかりました! だから、前を向いて運転してください!」