家の外に出て、
「さあ、おもいっきりねばるぞ~」
とはりきってみたものの、自分だけではねばれないことに気がついた。
強くふく風がからだにあたる。かれ葉をふむ音が大きくひびく。さみしい。
そうだ、だれかといっしょにねばろう!
ようし、だれか見つけるぞ。
そう決めると、ぼくは森の中を歩き始めた。
一匹の丸い虫が地面をはっていた。さっきテレビで見たな、これはイモムシだ。ぼくはかれのまわりをぐるぐるまわった。
「ねえ、ぼくといっしょにねばろうよ!」
「なんだ、このネバネバは。まとわりつかないでおくれよ。ぼくはまださなぎになる気はないぞ」
イモムシはころがりながら行ってしまった。
次に会ったアリはくりくりした目がかわいかったけれど、
「あり? アリのじゃまをするなんてあり?」
と、とお回りされてしまった。楽しそうだからぜひ友だちになりたかったのに。
地面から近い木のみきにミノムシがいた。ゆらゆら気もちよさそうにゆれていたのに、ぼくが近づくとおもいっきりからだをゆすってはなれようとした。
「私のよそゆきドレスになにしてくれてるの。あまりしつこいときらわれるわよ」
といって、ぼくの糸がついたミノの部分をベリッとはがしてしまった。
ガーン
ねばりたいだけなのに、いやがられてしまうのはなぜだ。どうせなら、だれかによろこばれるねばり方がしたい。でも自分もだれかもうれしいねばり方とはどういうものだろう?