ビバ・ネバル!(4/6)

文と絵・高橋貴子

どれだけ時間がすぎたんだろう。
雨がふり始め、どんどん強くなっていった。
冷たくて、どしゃどしゃ音がする。かれ葉の上に水がたまっていく。

からだが半分ほど水につかってしまったところで、ぼくはようやく大変なことになりそうだと気がついた。
けさテレビでいっていた雨をかんけいないとおもっていたが、とんでもない。
ぼくはどんぐりぼうしの中に入り、ながされるようにすすんでいった。ぼうしの船にも雨がたまっていく。おもみで少しずつしずんでいるようだ。

だけど、ぼくの頭はべつのことでいっぱいだった。
(ぼくから近づくといやがられる。友だちだとおもったら、糸をつかわれただけだった。これからどうしたらいいんだろう。でももうどうでもいいかなあ)

高橋貴子 について

(たかはし たかこ)米国・オレゴン大学国際関係学部卒業。外資系企業に勤めながら、子どもの本について考えています。子どもが作りたての小説を真剣な目で読んでいたのが最近の一番嬉しい出来事です。第3回講談社フェーマススクールズ絵本コンテスト講談社児童局賞受賞。