アイスクリーム・ゴリラ!(5/5)

文・ひなたのんき  

「ハァ・・・ハァ・・・パパは、どうしたかしら」
パパゴリラは、はしっていったきりです。
「あたしがオリに入って、にんげんあじのアイスができたら、パパ、たべにくるかしら」
レナは、オリのすきまに、手を入れました。
うでも、なんとかねじこみました。が、かたが引っかかって、それいじょう入れません。

「わっ、わっ。レナ、あぶないぞ!」
ふいに、大人の男の人のこえがしました。
「じゃましないで。パパをたすけなきゃ」
「そ、そうか。じゃあ、すぐにそこから出てくれ。そのほうが、パパはたすかるよ」

こえといっしょに、大きなあたたかい手が、かたにかかり、レナをやさしくオリから引きぬきました。
ふりむくと、そこには、しんぱいそうな、パパのかお。
「パパ? どうして、にんげんのかおなの?」
「なに言ってるんだ。パパは、レナが生まれるまえから、にんげんのかおだぞ」

ひなたのんき について

東京都出身です。空と、水のある景色と、物語の世界が大好きです。 絵は描けないけど絵本が描きたいので、絵本の文章を編集さんに見てもらったりしています。 好きな絵本作家は、かがくいひろしさん、長谷川義史さん。 好きな童話は、寺村輝夫さんの「ぞうのたまごのたまごやき」、「こまったさんのオムレツ」。 好きな物語の出だしは、安房直子さん作「きつねの夕食会」の「新しいコーヒーセットを買ったので、きつねの女の子は、お客をよんでみたくてたまりませんでした」。 こんな風に人に衝撃を走らせる一文を、自分もかきたいと思います。