「まもなく、時音(ときね)、時音、お出口は左がわ、二番ホームに着きます。お乗りかえのごあんないを・・・」
ふっと、車内放送が耳に飛びこんできました。
現実にもどりました。
もうすぐ降りる駅です。
おじいさんは、ふうとため息をついてから、席を立ちました。
駅を出ると、おとなりのビルにある花屋に寄りました。
「いらっしゃいませ。あっ、こんにちは! 今月もいらしてくださったのですね。花束、急いでお作りします。おかけになっていらしてくださいね」
おじいさんはひと月に一回、何年もこのお店に通っています。
おじいさんが入っただけで、お店の人は花束を作ってくれます。