すっかり刈り取りが終わり、冬支度が整った田んぼのうねを、おじいさんはなるべく急いで横切ります。
ここは通い慣れた道ですが、今日はもう疲れておりますし、いつもよりずっと遅い時間なので、のんびりしていたら日も暮れはじめてしまいます。
田んぼがつき、かれ木の立ちならぶ低い山のふもとに来ました。
その山は切り立ったがけになっており、がけには小さな穴がいくつも開いています。
小さいといっても、大人ひとりが体を小さくして通りぬけられるくらいの大きさはあります。なかは、大人20人くらいが入れるもの、2、3人くらいしか入れないもの、中くらいのものなどがあります。
穴によっては、奥で穴同士がつながっているものもあります。