12 鶴島かめ代のひみつ
秋と冬の部屋から転げ出た美里と大介は、
「あのね、大ちゃん!」
「あのさ、みーちゃん!」
と、息せき切って、それぞれに起こったことを話そうとしました。
その時、二人の持っているタブレットがプィンと開いて、新一の顔が現れました。
「しんちゃん!」
「おねえちゃん、大ちゃん!」
新一は息もつかずに、早口で話し始めました。
「鶴島かめ代ってひどいんだよ。ぼくをここに閉じこめて、出してくれないんだ。あれから、ぼく、もう、3日もここにいるんだよ。ゲーム、あきちゃった!」
「え、3日? こっちは、まだ、1時間もたっていないのに」
「うん、知ってる。ここの時間はおかしくて、あちこち、バラバラに進んでいるんだ。ぼくのいるところ、今までは、おねえちゃんのいる場所より、ずっと早く、時間が進んでいたけど、もうじき、島全体が竜宮時間になっちゃうんだ。そしたら、島の周りに時間のかべができて、3人とも、家に帰れなくなっちゃうって!」
新一が泣き顔になりました。
「だいじょうぶ、しんちゃん。残りはあと1問よ。最後の問題を解けば、みんないっしょにここを出られるはずだから」
美里は、ちらりと、タブレットの陸(おか)時計に目をやりました。
(残り、1分半だ・・・)
「最後の問題、出して!」
美里はタブレットをたたいたり、さけんだりしましたが、画面はなみだ目の新一を映したままです。
新一は、3日も娯楽殿にいる間に、鶴島かめ代の目をぬすんで、いろいろ、調べたと言います。