ぼくは、ゆきだるま。
ゆきがどっさりつもった朝、生まれた。
目は松ぼっくり、口は赤いおはし、鼻はしゃもじ、りょううではほうき。
「よーし! なかなかよくできたぞ」
ぼくを作ったのは、あきらさん。
じぃっとぼくを見つめて大きくうなづくと、きいろいけいとのぼうしをぬいでぼくの頭にのせた。
「ゆきだるまくん、るすばんたのむよ」
そういってしごとに出かけていった。
それで、ぼくはるすばんのゆきだるまになった。
「まあ、すてきなゆきだるまねえ」
赤いコートのおねえさんが、立ちどまって、ぼくの顔をのぞきこんだ。
〈エッ すてきだなんてはずかしいや〉
「大きなゆきだるまだな」
学校に行くとちゅうの男の子が、ぼくのほっぺにさわった。
〈ウフッ。くすぐったいや〉
通る人はみんなぼくを見て立ちどまる。
ぼくはうれしくて、ゆきだるまに生まれてよかったとおもった。