『ミルクが、にゅういんしたって?!』著者・野村一秋先生に聞く(2/3)

日本児童文芸家協会の第一回児童文芸幼年文学賞を受賞された、野村一秋先生のインタビュー第2回目です。受賞作『ミルクが、にゅういんしたって?!』の執筆で工夫された点などをお聞きしました。

◆キャラクターが固まるまで調べまくる

――野村先生は小学校教員として勤務されたご経験があるので、子どもたちのやり取りや先生との関係性がとても生き生きと描かれていますね。本書で工夫された点、また難しかった点などはありますか?

小学校に20年も勤めていたので、状況設定さえすれば場面の様子は自然と目に浮かんできます。まあ、それが自分の強みだと思って書いているんですが。だから、これといって難しかった点はありません。
『ミルクが、にゅういんしたって?!』は、はじめ原稿用紙20枚の作品だったんですが、担当の編集者さんのアドバイスで、主人公なっちゃんの成長が読者により読み取りやすくなるようにと書き込んで、28枚にしました。

――ハムスターの様子も詳しく描かれていますが、野村先生はハムスターを飼われているのですか?

ハムスターを飼ったことはありません。昔、妻が教室で飼っていたハムスターを家に持ち帰ったことがあって、そのときに撫でたくらいでしょうか。
だから、今回の場合は、書きだす前に、ハムスターのことをいろいろと調べました。
のらカメさんた』(小峰書店)という作品があるのです。これは息子が拾ってきたミドリガメを家で飼いはじめたのがきっかけで書いたような作品なんですが、それでもカメのことをいっぱい調べました。
いっしょに登場するスズメやカラスは言うまでもありません。で、調べているうちにだんだんとキャラクターが固まってくるんですね。逆に言えば、固まってくるまで調べまくるということでしょうか。
それだけ調べて書いても、本になると読者の反応が心配で・・・。今回も、ハムスターをこれまでに4匹飼った経験があるという方から、「すごくよくわかるんです!」と言っていただけたので、ほっとしましたね。(つづく)
ミルク入院書影

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野村一秋(のむら かずあき):1954年、愛知県に生まれる。教員として小学校に勤務した経験のもと、子どもの目線に立った作品を生み出している。日本児童文芸家協会会員。日本児童文学者協会会員。
主な作品に、『天小森教授、宿題ひきうけます』『しょうぶだ しょうぶ!』『のらカメさんた』などがある。