弱くなりたい(3/4)

文・中村文人   絵・中野愛久美

「ハチくん、そんなところに立っていないで中にはいりたまえ」
「・・・」
くやしさと悲しさで、ぼくのからだはふるえていた。

「どうしたんだ、ハチくん」
「ぼく、みんなにめいわくをかけてたんです・・・」
ぼくはがっくりとうなだれた。
「そんなに落ち込むんじゃない。正義の味方、戦隊ヒーローが台なしだぞ」
「もうかいじゅうをやっつけられなくてもいい。ぼく、弱くなりたい」
「国からたくさんのお金をもらって、君らを作ったんだ。かいじゅうがあらわわれた時に変身してやっつける。それがハチくんの使命なんだよ」

「いやだ! 弱くなるよう変身させてください、博士」
「困ったなあ。そりゃむりだ」
博士は頭をかいた。

どうして? ぼくは思わずかべをたたいた。
ボッコ~ン!
かべにあなが開いた。
「こんなの、いやだー」
バーン!
軽くさわっただけで、ドアがはずれた。
「このばか力をなんとかしてよー」
「ハチくん、そんなことをいうんじゃないって」
「だって、だって~」
「そうだ! ハチくん、ちょっとまっていなさい」