『ももいろのアルパカ』の制作を振り返って
にっこりと、ももいろのアルパカが笑っている。
絵本がで出来上がって、初めて手にしたとき、なんだか嬉しくてうれしくて涙が出てしまった。著者の木戸さんと手を取りあって喜んだ。
木戸さんの「メイリオ」と言う詩集のなかの一篇の詩「桃・アルパカ・私」を読んだとき、朝日に染まる、ももいろのアルパカが浮かんできた。気持ちのいい風が吹いていた。
それから一年後、私の絵の展覧会に来てくれた木戸さんが、「風子ちゃんの絵、アルパカのふわふわにぴったり!! 一緒に絵本を作らない!」と声をかけてくれた。
とても嬉しかったが、他の人の思いや言葉を絵にすることは初めてで、不安でもあった。
「風子ちゃんが詩を読んで感じたままのイメージで描いてくれたら」という彼女の言葉が背中を押してくれた。
こうして『ももいろのアルパカ』が生まれた。
絵が描き上がると、今度は、木戸さんと出版社の編集長さんとデザイナーさんと、それぞれのイメージを擦り合わせしながら形にしていった。
自分の中で出来上がったイメージを変えていくことに、心が揺れた。迷った。けれど、それと同じくらい驚きと喜びがあった。ひとりで絵本を描いていたときとは違う、新しい「ももいろのアルパカ」が生まれてきた。
これまで、私の描く絵本は、空に憧れてひとりで飛んでいってしまうような物語ばかり・・・。
青い空をひとりぼっちで見上げるようなシーンがいつも絵本の中にあった。
木戸さんとポエムピースさんと絵本を作らせてもらって、自分が飛んだよ!と言う本ではなくて、本を開いてくれた誰かの心がふわっと浮かぶような絵本が作れたらいいなと感じるきっかけをもらったように思う。
これからの自分の絵本作りの大切な核みたいなものが出来た一冊。
絵本がたんぽぽの綿毛のように飛んでいって誰かのそばで黄色い花を咲かせてくれた嬉しいなぁ・・・。