クリスマスシーズンに入りましたが、今回はトルコ人作家によるクリスマスにまつわる1冊の絵本を紹介しましょう。
◆私たちはムスリムだから
今回紹介する絵本は『シリンはクリスマスツリーがほしい』(1991年刊)というタイトル。著者のハビブ・ベクタスさんはトルコ出身で、私が住んでいるエアランゲン市のご当地作家。同市の文化賞の受賞経験もある人です。
さて、絵本の主人公はドイツに住むトルコ人夫妻の娘・シリン。彼女はクリスマスツリーがほしくてたまりません。通常、クリスマスシーズンになると町ではクリスマスツリー用の本物の木が売られます。シリンの友達の親も次々に買い、クリスマスの用意をします。
彼女はお父さんに毎日のようにねだります。「私も木がほしい」と。
ところがお父さんは「クリスマスはキリスト教のお祭り。私たちはムスリムだ。それに私たちには私たちのお祭りがある」とシリンの願いを退ける。「私たちのお祭りも、ドイツ人のお祭りもお互いにお祝いすれば?」とシリン。しかしどうしてもクリスマスツリーは買ってもらえません。