14 真相
「ここは、どこだ?」
んっ、この天井には、見覚えが・・・。
「ここはチャッピーのおこた部屋だ」
猿神さんの声に導かれ、
「つまり、」
とオレは、記憶をたどる。
「犬田って奴にやられたオレを、運んでくれたんですね。・・・猿神さんは、大丈夫だった、ってことですか?」
「ワシも、意識を失くしたようだが、なんということはない」
「そうですか」
と、体を起こしたオレは、仰天し息をのむ。
こ、この状況は、一体全体、なんなんだ?
おこたを囲み、押し合いへし合い、ぜんざいを食べているのは、猿神さん、黒岩さん、そして、すらりとした男の人に丸顔犬田、みあんからチャッピーを連れ去ったあの女性。
「猿神さん、この状況、整理して、把握したいのですが・・・」
「同感だ! じつは、ワシも、ついさっき目覚めたばかりだ」
「私が説明させてもらうよ」
オレの正面、すらりとした男性が、にこりと笑い、食べかけのぜんざいが入った椀を、台にコトリと置いた。
その手の甲に、
「あっ!」
小さな赤い円盤が飛んでいる!
その痣を見たとたん、懐かしい想いがよみがえる。
昔むかし、幼いオレを空に向かって抱え上げた手にも、それはあった。
そして・・・、積木遊びをしてくれた手にも。
別れたくはなかったのに、別れなきゃいけなかった人が、いまここに?
「父さん・・・?」
両親が離婚したのは、オレが幼い時だから、十数年ぶりの再会だ。
父さんの顔も、声も、ほとんど覚えていないのに、この痣と大きな手の温かさだけは、忘れていなかった。