一方、ナカタ老人も知らず知らずの逃亡の末、四国へやって来て、偶然、カフカの住む図書館の前を通った時に「ここには(全ての事件解決のための)入り口の石がある」と言い出す。
静かな午後の図書館で、カフカと佐伯さんとナカタ老人の想いが、一つの線として繋がり、やがて佐伯さんと老人はこの世から旅立ち、カフカは日常へと戻っていく。
「カフカ」とは、チェコ語で「カラス」の意味。カフカが常に心の友としている
「カラスと呼ばれる少年」は、カフカが愛用するナイフという説がある。物語全体がメタファー化した、少年の成長物語ともいえる。
英語版『Kafka on the shore』は、ニューヨークタイムズ紙で年間ベストブックに選ばれた、海外でも人気の作品。蜷川幸雄によって舞台化もされ、佐伯さんを宮沢りえが演じた。(2002年刊行)