いすから去った王子(3/7)

文・伊藤由美   絵・伊藤耀

白鳥の羽の王子

そんなこんなで、挑戦する王子や、騎士たちは、めっきり、少なくなりました。
けれども、王女の美しさを聞きつけて、また、ひとり、王子がやってきました。
白鳥の羽をぼうしにかざした、まだ、ひげも生えそろわない、とても若い王子です。

王子は、窓辺にすわる王女を一目見るなり、すっかり、恋をしてしまいました。
お城に入った白鳥の羽の王子は、王様に、うやうやしく、言いました。
「どうか、王女様と結婚させてください」
王様は、若い王子を、疑い深い目で、じろっと、ながめてから、かたわらの王女に、目配せしました。

王女はうなずいて、
「100日間、いすにすわり通すことができたら、私は、よろこんで、あなたの妻になりましょう」
と、言いました。

伊藤由美 について

宮城県石巻市生まれ。福井県福井市在住。 『指輪物語』大好きのトールキアン。その上にトレッキー(「スター・トレック」ファン)でシャーロキアン(「シャーロック・ホームズ」ファン)と、世界3大オタクをカバーしている。

伊藤耀 について

(いとう ひかる)1992年福井県福井市生まれ。仁愛大学人間学部心理学科卒。いつもはウサギばかり描いているが、ときどき、母親の童話に挿絵を描いている。福井市在住。創作工房伽藍で勉強中。