おにぎりものがたり(2/3)

文と絵・伊藤 耀

絵本「おにぎりものがたり」第2話第4場面「いずれにせよだな、ふんわり、にぎるのが コツなんだよ」
と、ひょっこり、うさとうさんが かおを だしました。
「うちの おばあちゃんは、ちからづよく、カンカラカンに にぎるから、すごく かたいだろう。それに、すごくでっかいし」
「うん、うん」と、うさも、うさかあさんも うなずきました。
とうさんは いいました。

「ぼくが こどものころ、ともだちんちの おにぎりを たべたとき、ふんわり、ちいさくて、『わあ、なんて じょうひんなんだろう!』って、かんしんしたもんさ」
「そういえば」
と、うさかあさんもいいました。
「わたしの ははの おにぎりも、すごく でっかかったわ」
「それって、うみべまちの おばあちゃんの こと?」
と、うさは、はなれたまちに すんでいる おばあちゃんの ことを おもいだしました。
「そうよ」
と、うさかあさんは うなずきます。

「しょうがっこうの えんそくの ときだったわ。やまに のぼって、はなを つんだり、くさすべりしたり、とても たのしく あそんだの。いよいよ おべんとうの じかんに なって、リュックの そこから おにぎりを とりだしたら、ペッタンコに つぶれて、なべしきみたいに なっていたの。それをみて、おともだちが おおわらいしたっけ」

伊藤 耀 について

(いとう ひかる)1992年福井県福井市生まれ。仁愛大学人間学部心理学科卒。いつもはウサギばかり描いているが、ときどき、母親の童話に挿絵を描いている。福井市在住。創作工房伽藍で勉強中。