がめ島うらしま館(1/14)

文・伊藤由美   絵・伊藤耀

「着いたよ」
「ありがとうございました」
料金をはらって、バスを降りると、高巣のおばさんが、にこにこ、待っていました。
「おばさん、こんにちは」
「よく来たね、二人とも。えらい、えらい」
長ぐつにエプロンすがたの、ちょっと太めのおばさんからは、ぷんと、魚のにおいがしました。

「大介、すごく楽しみにしてるよ、みーちゃんとしんちゃんが来るって。荷物、持とうか?」
「ううん、だいじょうぶです」
三人はバス路線をはなれ、ゆるい坂道を上っていきました。
「二人とも、ちょっと見ない間に大きくなったね! 美里ちゃん、ほんに、かしこそう。学校のお勉強もできるんやろ?」
おばさんが、ちろりと、美里の顔をのぞきこみます。
美里は赤くなって、「いいえ」と、うつむきました。

伊藤由美 について

宮城県石巻市生まれ。福井県福井市在住。 『指輪物語』大好きのトールキアン。その上にトレッキー(「スター・トレック」ファン)でシャーロキアン(「シャーロック・ホームズ」ファン)と、世界3大オタクをカバーしている。

伊藤耀 について

(いとう ひかる)1992年福井県福井市生まれ。仁愛大学人間学部心理学科卒。いつもはウサギばかり描いているが、ときどき、母親の童話に挿絵を描いている。福井市在住。創作工房伽藍で勉強中。