いえいえ、おばけじゃありません(1/4)

文と絵・ひなたのんき

ほんとに、古い。木のはしらが、黒ずんでいる。かわらの屋根がおもそうだ。風がふくたび、ギギ~ッて、ななめになってる気がする。

「こんなに古いんじゃ、おばけの一ぴきや二ひき、ほんとに出るんじゃない?ぼく、こわいよ。とまらなくていいから、かえろうよ」
パパに言ったけど、
「だいじょうぶだって。いいか、おばけってのはな。ほとんどは、見まちがいなんだ。

こわい、こわいと思ってると、おばけを見たような気になるものなのさ。さ、入るぞ」
パパは平気で、りょかんのげんかんの引き戸をあけた。

ひなたのんき について

東京都出身です。空と、水のある景色と、物語の世界が大好きです。 絵は描けないけど絵本が描きたいので、絵本の文章を編集さんに見てもらったりしています。 好きな絵本作家は、かがくいひろしさん、長谷川義史さん。 好きな童話は、寺村輝夫さんの「ぞうのたまごのたまごやき」、「こまったさんのオムレツ」。 好きな物語の出だしは、安房直子さん作「きつねの夕食会」の「新しいコーヒーセットを買ったので、きつねの女の子は、お客をよんでみたくてたまりませんでした」。 こんな風に人に衝撃を走らせる一文を、自分もかきたいと思います。