もこっと土がもりあがり、いっぴきのネズミが顔を出しました。
ゆっくりと出てきたネズミは二本足で立ち、大きなエプロンをしていました。
おどろいてこしをぬかしそうになっているフミヤに、ネズミはえらそうにむねをはって言いました。
「こまりますねえ。今ごろそんなこと言われても。それにあんたの歯をうけとったのはわたしたちじゃありませんよ。あんたいったいだれにおねがいしたんです?」
「たぶんキョウリュウなんです」
おそるおそる答えると、
「キョウリュウなんてもうほろんでしまっていませんよ」
と、あきれられました。
「でも本当なんです」
「ちょっと歯をみせてください」
フミヤは大きく口をあけると、ネズミがのぞきこんできました。
「これはキョウリュウの歯ではありませんね」
「なんの歯?」
「知りません。おそらくだれかがあんたの歯をひろっていったのでしょう。きっとそいつの歯ですね」
「どうしよう・・・」
フミヤは泣きそうになりました。