「着いたよ」
「ありがとうございました」
料金をはらって、バスを降りると、高巣のおばさんが、にこにこ、待っていました。
「おばさん、こんにちは」
「よく来たね、二人とも。えらい、えらい」
長ぐつにエプロンすがたの、ちょっと太めのおばさんからは、ぷんと、魚のにおいがしました。
「大介、すごく楽しみにしてるよ、みーちゃんとしんちゃんが来るって。荷物、持とうか?」
「ううん、だいじょうぶです」
三人はバス路線をはなれ、ゆるい坂道を上っていきました。
「二人とも、ちょっと見ない間に大きくなったね! 美里ちゃん、ほんに、かしこそう。学校のお勉強もできるんやろ?」
おばさんが、ちろりと、美里の顔をのぞきこみます。
美里は赤くなって、「いいえ」と、うつむきました。