「それに比べてうちの大介ときたら、ミーちゃんと同じ、5年生やというのに、勉強もせんと、ゲームばっかり。このごろは何かいうと、おにいちゃんにつっかかって、困り者なんよ」
「ぼく、3年生になったの」
新一がおばさんの前に、指を3三本、立てました。
「おお、そうやった! しんちゃんも、もう、3年生か。遠足、松島水族館だったんやろ?」
「うん。イルカショー、見たよ」
「そっか、そっか」
おばさんは「うん、うん」とうなずきます。
やがて、道の先に「宮本鮮魚店」のかん板が見えてきました。
店は開いていて、コンクリートの床を水が、ザーザー、洗い、大きな水そうの中で魚が元気におよいでいます。
「こっちよ」
おばさんが店の裏手の玄関で手まねきします。
玄関にはサンダルやシューズが散らばり、ろう下にはトロ箱が積み上がっていて、その奥から、かん高い少年の声が飛んできました。
「ばーか! 浩一のばーか!」
「こら、大介! みーちゃんたちが来てるんよ。はずかしい声、出さないの!」
ドドドっと足音がして、真っ黒に日焼けした丸がり男子が、海パン一枚で、家の奥から出てきました。
「おっす、みーちゃん、しんちゃん! 早く、およぎに行こう!」