11 秋と冬の部屋で
何かにせなかを強くおされて、美里と大介は、ほぼ同時に、春、夏の部屋からホールの床に転げ出ました。
「やったよ、みーちゃん!」
「うん、あたしも!」
ふたりは立ち上がって、タブレットを見せ合いました。
4番と5番のパネルが消え、ふたりの人物の顔の上部分が現れていました。
「男と女だな」
「きっと、浦島太郎とおとひめね」
「残り、13分や! 急がなくちゃ」
「あのね、大ちゃん」
美里がためらいがちに言いました。
「残りの時間であと3問はとても無理だと思うの。このままだと、3人とも、うらしま館で何千年も暮らすことになる。だからね、大ちゃんは、今すぐ、ここを出た方がいいと思う」
「え、みーちゃんはどうするの?」
「あたしは新一を置いて行けないから、ここに残って、最後までがんばってみる。大ちゃんはおよげるんだから、島から出て、ここであったことをみんなに伝えて。あたしたちがどうなったかってことを、うちのお父さんやお母さんに。大ちゃんまでここに残ったら、本当のことを伝える人がだれもいなくなっちゃう。だから・・・」
「いやや、そんなこと」
大介は、きっぱり、首をふりました。