「みーちゃんひとりで、あと3つ、解けるわけない。話している時間がもったいないよ。早く、秋と冬の部屋に行こう!」
美里はほっとして、にっこり、うなずきましたが、すぐに、
「でも・・・」
と、残り2つのとびらを見やりました。
「あたしたち、水着だね。それに、ふたりとも、はだし」
「そっか」
大介も顔をしかめます。二人とも、どちらが冬に入るかを考えたのです。
「だったら、じゃんけんしよ。勝った方が好きな部屋を選ぼう」
じゃんけん、ぽん!
「勝った! おれ、冬ね」
大介ははだかんぼうの胸をそらし、のしのし、冬の部屋に入って行きました。
「ありがとう、大ちゃん」
大介のゆうかんさに心を打たれながら、美里も秋のとびらを開けました。
そこはかがやくばかりの紅葉の林でした。
海は見えませんでしたが、海鳴りと潮のにおいで、海がすぐ近いと分かりました。