ピカン!
「『第6問。浦島太郎が竜宮城を去った後、おとひめ様はどうなったでしょう?』 またまた変な問題! でも、きっと、どこかにヒントがかくれているんだ」
美里は、きょろきょろ、林の中を見回しました。
「あれ、だれかいる」
木かげからのぞくと、泉のそばで、きれいな女の人が、しくしく、泣いていて、それをみすぼらしい身なりの男がしきりになぐさめていました。
「どこかで見たなあ、これ・・・」
ふと、美里は、足下の木の根の間に、何か、キラキラした物がつめこまれているのを見つけました。
「あ、これは!」
美里はそれをつかんで、二人の前に飛び出しました。
「はい、これ!」
美里が差し出した物を見て、女の人の顔が、ぱっと、かがやきました。
「ああ、私の羽衣! よかった、これで天に帰れます!」
女の人は羽衣を受け取ると、さっと体にまとって、うれしそうに空に浮かんで行きました。
おこったのは残された男です。
「こいつ!」
男のごつい手が美里の首根っこをつかまえました。
「わしが、せっかく、よめにしようと、羽衣をぬすんで、かくしおいたものを。よけいなことをしやがって。せっかんせずにおくものか!」
「いたい、放して! 悪いのはおじさんじゃないの! 天女をだまして結婚しようなんて!」
次の瞬間、地面に投げ出されて、うんといたい思いをしたのは男の方でした。天女がもどってきて、羽衣で男を打ったのです。
「悪いのはお前の方。こらしめてあげましょう!」
羽衣からは電気が、びりびり、走り、むちのように、びしびし、打ったので、男は悲鳴を上げて、逃げて行きました。