「この先だよ」
3人は大介を先頭に走り出しました。
畑に囲まれた家々をぬけると、いきなり、目の前に大きな島が現れました。
「ほら、かめの形をしてるだろう。だから、がめ島」
かめが頭を外海に向け、浮いているような形です。
島をおおっている森が、ちょうど、かめのこうらに見えました。
「だったら、かめ島でしょう?」
「ちがうよ、がめ島」
「どうして?」
「どうしても」
こちら側の岸はぐるりを低いコンクリートのガードで囲われています。
そこまで行くと、目の下に波のくだけるいそや、島までの間に、ところどころ、とんがり頭を出している岩が見えました。
「こっちこっち」
大介の手まねく方へ行くと、船着き場でしょうか、海に下りるコンクリートの階段があります。
階段は水面より下に続いていて、波が、ポチャポチャ、洗っていました。
「あ、おねえちゃん、あそこにお宮がある!」
新一が島を指差しました。
なるほど、島の中腹に赤い鳥居があり、せまい砂浜からの石段も見えます。
「あれ、がめ島神社っていうんや。あの裏の森にはカブトムシが、いっぱい、いるんだぞ」
「え、カブトムシ! ぼく、行ってみたい」
美里はあたりを見回しました。
「ここからは行けないよ、しんちゃん。ボートとか、ないもの」
ところが、「行けるよ」と、大介。
「え、どうやって?」
「およいでだよ。さ、行こう!」
大介は事も無げです。
美里も新一も、その場で固まってしまいました。