その時です。
「おまえなんかに負けるかよ!」
大介がふり返って、竜の顔めがけ、つるぎをつき出しました。
グワアー!
つるぎは、みごと、竜のほほをつらぬいたので、竜は水中をのたうちました。
すると、ここぞとばかりに、追いかけてきた人魚たちが、竜の顔と言わず、体と言わず、しがみつき、かみつきました。
そのすきに、大介は、「えい!」っと、水晶玉で水そうのガラスを打ちました。
ガラスは、バリっと、割れ、大介を、どっと、水そうからはき出し、見る間に元通りになりました。
後には海パンすがたにもどった大介が残されました。
竜の玉もアクアスーツも、あとかたもなく消えています。おまけに、大介のサンダルも。
「助かった!」
大介は、パチパチはねている魚たちのそばに大の字にのびて、息をきらしていました。
一方、美里は、ピラニアのような人魚たちに水底に引きずられていく竜を、こわごわ、見送りました。